昔の同僚から不安げな声で、「病院やめるには、どしたらええんですかね」と奇妙な相談がかかってきた。
変な病院にかかっているわけではない。
心臓バイパスをつけてもらった優秀な病院が、通院間隔に合わない薬の処方しかしてくれないので、通いやすい地元の開業医に相談してみたそうな。
すると、「いま通っている病院をやめてもらわないと受け容れられない」と条件を出されて、執刀病院にどう縁切り状を出そうかと悩んでおられるのだ。
同じく元同僚の経営学のセンセ(やはり心臓の手術経験者)にも相談されたところ、「そんなの簡単、電話一本でええんです」と即答されたようで、僕も右に同じ。患者は病院、治療法を選ぶ主権者なんである。
ましてや、退院して在宅療養している身だと、通院しやすいホームドクターを決めて細かなケアをしてもらえる方がいいだろう。
執刀した病院も、術後の管理を続けたいということならけっこうな責任感だと思うが、心筋梗塞(あくまでも予防的手術だったらしい)の術後ケアの次のステージは血栓の予防。
これは地域の開業医なり、訪問看護なり、患者の暮らしを主体にしたケアになるはずだわな。むしろ医療主導というより福祉マターになる。
ただ、地域医療の側も、「ドクターショッピングされると責任をもってケアできない」という事情もあるのはわかる。都市部だと、整形や内科や眼科や整骨鍼灸なんかをかけもちしている患者は普通にいるから、「当院ひとつにすがりなさい」なんてところはないはずだが、ふと地域医療の難しさもおもんぱかってしまう。
「かかりつけ多数」の患者が、どんな薬を消費してどんな養生訓を説かれてどんな死生観を培っているか、開業医は細かく把握できないもんな〜
大病院の勤務医になると、なおさらだ。
だから、大学病院だのゴッドハンドだの求めずに、相性のいい近所の赤ひげドクターが見つかればいいがな…と願うばかりである。
ご自分の希望を伝えて、新しい主治医を見つければええと思いますよ〜と建前論のような意見をさせていただいたのだが、同僚は処方薬を命綱のように大事にとらえているのに、「納豆わしわし食って、まめに軽い運動してれば大丈夫ちゃいますか?」と現代医学を否定する(笑)無責任な養生訓をつぶやいてしまったワタクシ・・・
万病に効くキノコは何かご存じ!?!?と相談されたらどうしましょ(苦笑)。
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