2009.05.31 Sunday
神戸市民にとっては、「写真とカメラのことならコヤマカメラ!」の老舗店が閉店してしまった。謹んで、哀悼の念を捧げたい。ご苦労さまでした、と。
僕はそんなに上得意ではなかったのに、ラッシュやダイレクトプリントをよく出すマイナー客だったせいか、ちゃんと名前を憶えてくれていた義理堅い店だった。
もちろん、どんな注文にも応じてくれて、「あそこに行けばカメラと写真のことならなんとかなる」と信頼される駆け込み寺でもあった。
カウンターがコの字につながっていてスツールが並び、カメラ一台(1個ではなく一台、の感覚を反映した店構えだったのだ)を買うにも店員とじっくり差し向かいで話しながら説明を聞くスタイル。
フィルムが巻き戻せないとか、トラブルを持ちこむと、何人もの店員がカウンターをはさんで集まり、「だれかの知恵」か「おっちゃんたちの知恵」で解決する。
レンズキャップ1個注文するのでも、「そこにおかけになって連絡先をお書き下さい」だったから、丁重でいいけど能率が悪いだろうなぁ・・・とひとごとながら心配していたものだ。
これは数年前に閉店した元町エリアの老舗店ヒラマツカメラと似ていて、ヒラマツは女の子さえいなくて、じーさまが敷居を高くして店もお高くとまっていた「ガラパゴス支店」だったから、つぶれるのは時間の問題だった。
昭和の発想の店だと、同時プリント受付やフィルムの販売は(たぶんバイトの)女の子たち、カメラは中高年ベテラン店員、と役割分担が決まっていたりする。
その中間の、ガンガン売りさばきまっせ!!といいたげな働き盛りの営業マンは、向かいの星電社やら近所のJoshin、ハーバーランドのソフマップあたりへと、みごとに棲み分けができあがっている。
「父たち娘たち」で昔ながらの商いをやっていた老舗店が、デジカメ時代に息絶えたわけだ。
それはそれで、しかたないことかもしれないし、時代に合うビジネスモデルというのも、たしかにあると思う。
安ければいいってものでもない。事実、コヤマカメラは星電社より安かったし、品揃えも豊富だった。
ただ、カメラが家電品になってしまったから、「iPodや携帯を買いに行くついでにデジカメものぞいてみようかな」の流れに、カメラ専門店としてついていけなかったのかもしれない。ヨドバシやビックカメラも「家電量販店」と化しているし、デジカメはホームセンターなんかでも売っていたりするからね。
専門店の生き延びる場は、マニアをうならせる道しかないのかな?(そのマニアが、コンスタントにお賽銭を払ってくれればの話)
実際、元町に住んでいる僕でも、めったに三宮センター街に行かないから、コヤマカメラが4月はじめに閉店していたことにも気づかなかった。最寄り駅はたった一駅の差なのに、元町の方がベタベタに庶民的で、地元感覚が濃い〜のだ。
その地元にも栄枯盛衰は進んでいて、イエローカメラが金券屋に化け、それも閉店して海鮮丼店に変身していた。
三宮の高架下にもあるので行ったことはある。今週ちょいと「元町の味」を探りに寄ってみると、やっぱり同じ味だった(当たり前か)。
「神戸中央卸売市場の魚屋さん直営」を売りにしているので、480円で妥当な丼が出てくる。寿司にすると6貫ぐらいだろうか。けっこうまともな味噌汁はプラス40円。
とにかく改札の目の前にあるので、仕事帰りが遅くなったときは便利だ。11PM閉店なので、本店と同じ24時間営業になれば申し分ない。
ここで腹ごしらえをして、さーて夜食と朝食を仕入れて帰るか、とショップ99に寄ってみると、おぉ!看板が「ローソンストア100」に変わっているではないか。ローソンと提携しているのは知っていたが、乗っ取ったわけね。それで1円アップした、と。
そのせいか偶然かはわからんが、まるで上海の市場(行ったことないけど)のように段ボールが散らばっていた店内はすっきりきれいになっていたような・・・たぶん、ローソン流の在庫管理が導入されたのだろう。
気になるのは、ほとんど中国語が公用語になっていた店員の顔ぶれ。
たまたま蚊さんはいなかったものの、腸さんがクール・プリティに徹して電光石火のレジ打ちをやっていたのでホッとひと安心。ローソンよ、腸さんを大事にするように。
「ちんまや」も復活したし、恋川筋の家路は少し明るく楽しくなった。
フジカラーのパレットプラザはなんとかがんばっているから、コダック党としても、せいぜい利用してあげるとしましょう。