日曜日は蒸し暑い法事で、長兄の家に3兄弟が集まった。あらためて弟の新妻と兄宅で出会うと、何度も会っているとはいえ、奇妙な気分がする。
バツイチ再婚同士だから、新しい配偶者を前にして露骨な話はしなくても、「男はつらいよ」と共感できるところもあるのだろうか。そのあたりは、「無傷」の僕などカヤの外である。
それに、二人とも(おまけに弟の配偶者も)公務員でアラゴー・・・とくれば、もう安定飛行というか、定年後の余暇と退職金をどう使うかだけ考えていればいいわけで、さしあたって家(のロケーション)とクルマの下馬評に花を咲かせている。
ここでも、完全に僕はカヤの外。すみませんねぇ芸能人で(笑)。
もっとも、たとえ1年でもローンで買い物するのは嫌いだし、まじめに「都会人は自転車がクール」と信じているから、マイカーもマイホームも興味はない。
家とクルマが豊かさの象徴だった高度経済成長時代のような発想には、「懐かしいノリやなぁ今どき」と思いこそすれ、同時代を生きている同世代人には見えない。あちらも、「身内に変種がいやがる」としか思ってないだろうが(苦笑)。
せめて、男なんだからエロ話の1つや2つはせんかい!と思っても、人生の果実すべてが手に入ると、ハングリー精神はなくなるのだろうか。
僕なんか、ボーナスはほしいし人生初の彼女もほしいし(笑)、退職金もないし、下衆な欲にふりまわされて毎日あくせくしているというのに。
この、学校を出てからブランクなく役所の世界に入って、ずーーーっとそのまま定年に向かって可もなく不可もなく生きている家庭人は、小泉竹中改革をどう見ているのか、聞いてみようと思いつつ、なんだか萎えてしまった。
あと、足利事件の落とし前をどう考えているのか。
冤罪で人生を奪われた菅家さんは、「検察も警察も許さん!私の前にきて謝ってもらう」と憤怒していたのに、県警本部長が謝罪すると「許します」と一転、丸めこまれてしまった。
彼の怒りの矛先は、もちろん警察と検察の組織ぐるみの体質にもあっただろうけど、推定無罪の被疑者に恫喝の限りを尽くした刑事や、証拠をもみ消した検事も標的になっていた。
それが、県警本部長とはいえ、ただの順送り人事で今たまたま本部長のいすが回ってきただけのキャリア役人に頭を下げられたぐらいで許されてしまうのは、なんだか茶番劇レベルの謝罪儀式を見せられている気がする(もちろん、菅家さんの大人の判断を責めるつもりはない)。
僕なら、関係者一人一人を法廷に引きずり出して、あくまでも個人責任を追及するだろうな。大人げないと叩かれても。
いくら組織の体質が病んでいたからといっても、また上司の指示に従うしかないといっても、組織は個人が構成しているのだ。体質のせいにしていては、無能な税金泥棒が繁殖するだけ。
組織の都合で、追及できるはずの個人責任をやむやにさせられてはたまらないし、「組織の長がこうして深々と頭を下げているんだから、許してやればどうだ」と真綿で締め付けられるような世間の空気も、おかしい。
「私の顔に免じて、許して下さい」とトップが土下座すれば(いかにも儀式だねぇ)、許さない方が偏屈よばわりされてしまう。
今の県警本部長が事件発生当時に操作の指揮を執っていたならともかく、別部署にいたなら指揮監督も指導もできなかったわけだから、責任はない。責任のない人に頭を下げられても、困るわな。
あくまでも、捜査責任者は警察官吏個人である。「あなたが土下座パフォーマンスでかばっている本人を出せ」と要求しないと、同じ茶番劇はこれからも連綿とくりかえされるだろう。
捜査一課長はどこの何者なのか、この世その命が果てるまで追及されて当然だ。
なんなら、バカ警官とアホ検事の個人名を生中継でしゃべって「出てきなさい」と叫んでもいいと思う。「名誉棄損で訴えるものなら受けて立つぞ」と。
そういう個人責任追及の発想も、これから増えては行くと思うのだが、最後まで残る組織の鎧に守られるのは、公務員だろうな・・・と思う。もう、それが「無謬の前提」にさえなっている。
ただ、組織がかばってくれず、トカゲの尻尾みたいにあっさり切られて、マイホームローンまで組んでいながら懲戒免職で退職金*千万円がパー、妻子が出て行って天涯孤独になってしまった「木っ端役人なれの果て」みたいなおっさんがいれば、少しは同情してしまうかもしれない。
厚生労働省の村木部長(当時)に、「適当に書類を通しておけばいいのよ」と指示された部下のキャリア君も、組織の慣例に忠実に従った点で優秀といえるのか、それとも無能だったのかね…?
たとえ「私に従わないなら、あなた将来はないわよ」と脅されても、「いいもんねーおれ俳優で人生やりなおすから」とケツをまくれるような何かがあれば、脱出口にはなっただろう。
そもそも、目をつけられなかったかもしれない。「あいつにやばいことを命じると、さっさとリークされて詰め腹を切らされるわ」と思われれば。
では、「言えなかった組織の裏側を書きまくるブロガー」なんて類は、はたして安泰なのかリスキーなのか・・・。
そんなブロガーなのだとPRしておくことが、トカゲの尻尾にされないための、屁のつっぱりぐらいにはなるだろうか。