2011.01.31 Monday
事務長さん肝いりの「リニューアル読書会」に賛同して、初回に参加したのはいいものの、課題書(歴史家の事務長さん指定の福沢諭吉と丸山眞男)に結局ふれることなく、運営問題で紛糾(?)して、本の中身はおあずけになってしまった。
紛糾させたのは、ほかでもない僕自身で、喫茶店2軒をはしごしつつ7時間かけて、ああしろこうしろと要求三昧。ひどいやっちゃ(苦笑)。
「親病院」のソリューション・システム構築の難題と、非営利事業である研究会活動と、事務長さん個人の考古学研究の夢が同時進行していて、重量級の御輿を一人で担いでおられる。
もちろん僕も、やいのやいのいいつつ、担ぎ手にはなっているつもりだが、わたしゃ悪名高き指示待ち族の典型であるから、「ここを分担せよ」「いつまでに、ここまで仕上げろ」と指示されないと動かない。動けない。
指示と受諾は口頭であっても大人の契約だから、あたりまえだが結んだ契約は守る。ゴルゴ十三の流儀である。
病院の本業部門では、地域の独居高齢者の見守りをシステム化したいとのことだったが、とっくに地域包括支援センターなり社協なりがシステムを構築しているはずだから、医療システムをどう組み込んでいくかは、協議が欠かせないだろう。
独自にやるとなると屋上屋を重ねることになるかもしれないし、それでも続けていく余裕が民間病院の経営体力にあるかどうかも、老婆心ながら気になる。
従来型の独居高齢者支援システムとは違う形で、と思いつかれたのか、理事長の号令一下で事務長さんが病院ブログと職員メーリングリストの導入可能性を模索しはじめた。
ただ、「スマートフォンってなんですか?」「メーリングリストの参加登録がわかりません」という段階だから、どう順調に船出できるか、見守るしかない状況なのである。
僕が職員なら、理事長に直談判して「広報課を設けましょうよ。責任者やりますから」とゴリ押しして、ちゃっかり課長におさまっているかもしれないが、雇用関係のない外様の立場では「言うだけ」しかできない。
事務長さんもプログラミングを自分でやっていたぐらいだから、別にIT音痴でもなく、アレルギーもない。
おそらく電子カルテのシステムはとっくに導入済みだろうから、職場にちゃんと「わかる人」はいるはずで、灯台もと暗しのような気配もうかがえる。
日本海の荒波に揉まれている電脳判事殿を紹介しようかと思ったりもするのだが、機動力ある有能なSEへの「投資」をうまく活かせる組織と、なかなかそうはいかない組織があるのは事実。なにせ理事長が古きよき赤ひげドクターだから、だれもが尊敬する人格者であればこそ、耳の痛いことをずけずけ具申できる側近がいない(ようだ)。
これは組織一般によく見られる傾向だから、僕は驚きもしないし憤っているわけでもない。かりに病院の舵取りがうまく行かなくても、僕は自分の生活になんら響きはしない立場である。
だから僕は、給料をもらっているわけではない立場をいいことに、「せんせーの自己満足ちゃいまんの?」「指示は具体的にせんと、阿吽の呼吸は後の世代に続きまへんで」なんてことをグサリグサリと話し、書き、メールし、FAXしてきたので、すっかり疎ましがられてしまった。
メーリングリストひとつにしても、もう十数年前に、当時は理事長の部下としてバリバリ腕をふるっていた「和田秀樹の後輩」から導入を勧められていた単純なシステムだ(彼は僕に、「ブログの秘訣は毎日更新。これに尽きます」と笑顔で助言してくれて、それを愚直に実行して今に至っている)。
ところが、その彼は外地に留学し、帰国後その手記をアップされていたサイトは休眠状態。
本業が猛烈に忙しいのはわかるが、研究成果や日々考えていることなど、「宝の山」は洪水のような日常業務に埋もれてしまって、日の目を浴びない。もったいない。
まるで「一日のエンドロール」のように流れて行ってしまうツイッターではなく、これこそブログ化してほしいと思うし、どのドクターでも看護師でも薬剤師でも、宝のような経験則を日々蓄積しておられるわけだ。
素材はある。公開するのにテクニックはいらない
でも、それがうまく行かないのはなぜか。
たびたび事務長さんが危惧されているのは情報漏洩のリスクで、財務や外部評価、ISO対応などは事務的に公開できても、患者相手の業務だけに、ナーバスになるのはしかたないとお察しする。
それ以外にも、おそらく労務管理の観点から、自由に発言できない組織風土の問題があぶり出されてくるかもしれない。
事実、僕の契約先も、正職員のだれ一人として業務ブログも提言も書いていない。「うかつにそんなことはできない」のがホンネだろう。
かけ声だけはよく聞く「ICTソリューション」も、技術的・経理的なハードルより、内部統制の理念や労務管理の思想が見えないハードルとして横たわっているのではないだろうか。
同業他社の経営陣、従業員と自由に情報交換してしまえるネットワークに無関心でいられる経営者は、めったにいないと思う。
そのへんの「情報、人材の液状化」はいくらコントロールしようとしてもしようがないところに来ているのがネットワーク社会の現実だから、「ケースワーク」規模の情報共有システムぐらいから試してみてはいかがでしょ?と事務長さんには提案しているのだが、どうなることやら。
ITのアクセルとブレーキの加減は、病院に限らずマネージメントのひとつの鍵になっていることはまちがいない。
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