通勤途中に、おじーちゃんが針金で電柱にタテカンをゆわえていた。
ラジオ体操の案内。夏の風物詩ですなぁ。
僕はほとんどラジオ体操に通った覚えがないので、どういう効能があるのか、いまいちピンときませんが。
学生の夏休みのおかげなのか、若干すいた快速で楽々通勤するパターンがもうしばらく続く。
20日!終業式!海だ山だ!とわかりやすい流れがある子供たちがうらやましい。
大学生のおにーさん・おねーさんはスーツ姿で死にそうに歩いている。
高校生のおにーさん・おねーさんは夏期講習で窒息しそうな顔。
緊張の夏が日本の夏なのだ。
大きな旅と鯉をどかんと楽しめる機会は、なかなか夏休みをおいてほかにない。貴重な機会を奪うシューカツや夏期講習は罪つくりだ。
人生で1回か2回、夏休みをつぶして受験やシューカツにささげて、必ず成果が出るならいいとしても、合格も彼女も何も手に入らなかったワタクシにしてみれば、博打のような夏休みであった。
要領のいいやつは、海の家でチャラいバイトで小遣いをかせぎ、サーフボードという漁船でピチピチした「小魚」を収穫し、ちゃっかり内定まで勝ち取る。バブリーだったとはいえ、絶好調と絶不調が同じ時代に机を並べていた機会格差の時代は、すでに昭和末期にあった。それが露骨に出てきただけで、シューカツ難も目新しいニュースではない。
正社員として大企業に雇用されなければ絶望する高偏差値大学生は、これはこれで難点をかかえているのだが、今夜は「ターミナルケア専門MSW志望」という才媛が相談にいらっしゃった。
うーん、これも難しい。
そもそも僕は助言できる立場にないが、社会保険制度の中に位置づけられている専門職でないことは承知している。
「病院によって、事務職員扱いのところと、専門職として活用しようというところがあって待遇もさまざまなようですよ。看護師をMSWとして使うのが現実的な人事だったりするようで。調べてみては?」
と答えてはみたものの、マニュアルがない職種にチャレンジしようとする意気込みはけっこうなことだと思う。
正社員になって出世の階段を昇り家庭を営むマニュアルは豊富にある。
が、非常勤で労働市場を泳ぎ、セルフ・プロモーションと人生設計を展開するマニュアルは、やっと21世紀になって
ダニエル・ピンクが世に問うただけで、まだまだお寒い。
日本ではどうか。なにかと毀誉褒貶にまみれてはいるものの、勝間さんのセルフ・ブランディングの発想はまちがってはいないと思う。ソーシャルワーク事務所を独立経営できるワーカーが続出してほしい。
「マニュアルなしシューカツ」の不安を希望に変える発想力が、若さの特権ではないのかな。
できるところから自分の仕事をコツコツこなして実績にして、ケース・レコードを論文にして発表していけば、月並みな縁取りシートなんかより訴求力はある。見る目のある人の目に留まるはずだ。
だれもやってないチャレンジは、自分が先駆けになればやりたいようにやれるよ、と無責任な助言をして才媛にを励ましたつもりだったが、ますます不安げな顔をしておられた。申しわけない。
女子のシューカツの難しさや不安要素は、オッサンからするとどうしてもわからないところもあれば、本人より見通せるところもある。
コツコツ勉強して就職をかなえ、石の上にも3年か5年、可動域も広がり「いよいよステップアップ」というころポッキリ家庭に収まってしまうモッタイナイ人生も、何十例も見てきた。
仕事も家庭も生きがいも叶えるマニュアルはあるはずなのに、そんな魔法の杖は、なぜ社会学屋さんは出し惜しみ・書き惜しみしておるのかっ!?!?と忸怩たる思いもする。
お前が書けといわれれば書けるが、たぶんだれにも通用しない。マニュアルにならないことはもちろん、僕の生き方を真似る人々が増殖すると、日本経済は破綻する(笑)。
もっとすごい仙人もおられて、年収50万円で無保険の野生児(間もなく野生爺か)だったりする。大学生が真似はじめると、危険思想(笑)として猛暑攻撃を浴びるだろう。
そんなパンドラの箱を御開帳したくて、わたしゃウズウズしているのだが・・・偉人伝でも書いてみようか。
お嬢さまにはさっぱり参考にならないこと確実だが、実行してしまうお嬢さまがいれば、日本の未来は輝く暗黒である。