2014.08.31 Sunday
実業之日本社のシリーズもの新書の兵庫版を楽しみに待っていた。
ようやく出た先崎仁『意外と知らない兵庫県の歴史を読み解く!兵庫 地理・地名・地図の謎』は、完全アウトサイダーがにしてはよく調べたなぁと感心するほど、いろいろな角度から、描きにくい兵庫像を描こうとしている。難しかっただろうね、県民性がつかめないと。
そこは著者も「一言で説明できない」とお茶を濁しているように、県民でさえわからんのだ。
ため池の数、古墳の数が日本最多。国産みは淡路島。
と歴史的な由緒はしっかり書かれているし、尼崎の市外局番が06の理由もわかる。
なかなかバランスのとれた取材の成果だ。(関帝廟のある)中山手通を山手通と誤記してしまう程度はご愛嬌。
そして、真性テツにとってはとっくに周知の事実なのかもしれんが、仮性の僕が新発見したのは、新幹線相生駅の構造は夜行新幹線計画の名残りなんだとか。これは意外や意外。
山陽新幹線開通当初から、東京博多間に「夜行ひかり」が走る構想もあったそうだが、騒音問題もあって実現しなかったようだ。惜しい。
徐行してでも夜行、やれませんかねぇ…
もひとつ、「しんてつ」まで取材されてるのもうれしい。
驚くべき登山電車だ。しかも登山用、観光用ではない都市交通で、こんなにアップ&ダウンがあるのも珍百景ではなかろうか。いま粟生線の存続が崖っぷちのようだが、観光でもいいから全国から乗りにいらっしゃいますように。
物足りないといえば、冒頭にも書いたケンミン性がわからないままというところ。
もう、おしゃれな阪神間だとか、目新しいもの好きな神戸っ子とか、ステレオタイプは飽きた。
県庁所在地に生まれてずーーーっと住んでいてもわからないのが、1県に統合された「5つの国」それぞれの親近感のようなもの。
明らかに、播磨気質と阪神間気質は、JR1本の延長戦上なのに須磨あたりを境にちがってくるし、淡路っ子は神戸と仲良しである(と僕は勝手に思い込んでいる)。
但馬地方には何人か知人がいるし身近に出身者もいるのだが、丹波地方はわかりにくい。神戸や大阪より京都とつながりが深そうだが。
たとえば、Uターン・リタイアする人は全国的にいるのだが、阪神間住民で、リタイアしたら「のんびりした土地で」と思うと、どこへ移住するのだろう。これも、イメージがわかない。
ま、そのまま神戸なり西宮なりにいてものんびりはできるけれど、播磨へ引っ越す人はいても、但馬方面まで足を伸ばす人はまず聞いたことがない。交通は便利になっているから、距離感は昔ほど大したものはないし、それ以上に「ケンミン性がわからないミステリー感」はあるのだ。
このあたりは、大阪の北摂と泉州と河内の違いより大きくて深いような気もするし、郷土史家の出番かもしれませんな。
とりあえず、47ケンミン性を大雑把につかむには、なかなか楽しいワイド新書でありました。
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