無線従事者のうち、現役の局長さんは何分の1かしかいないから、わかるかな〜?とあてにせずFBにミズホ通信ねたを書いたら、ワタクシ的には驚くほど反応があった。
ラジオ少年に本当に親身になって教え導いてくれた創業者社長が亡くなったのであった。
今はビクターと合併して JVC Kenwood になっている(株)トリオは、オーディオメーカーとしてより、無線機メーカーとして世界に君臨していた。過去形にすると失礼か。無線機部門は今でも現役だから。
そこの設計開発者が独立して創業なさったメーカーが、ミズホ通信。瑞穂の国のラジオ少年を育てる起業精神があったのか、F-1カーのような無線機を製造して世界に売りまくる大手メーカーからすると自転車メーカーのような規模のまま、一代で終わってしまった。
トリオ(Kenwood)党だった僕は幸い親に買ってもらった「弁当箱無線機」と、バイトして買った重量級の上級機を両手に楽しんでいたから、ポケットサイズのミズホは1台しか持ってなかった。
たしか、半完成品のキットだったと思う。マイクロチップなんかない時代だから、無理やり部品をつめこんだ基板は完成していて、シャーシに取りつけて簡単に半田づけする程度で、とりあえず送受信はできるようになった。あとから改造するユーザーを想定していて、空きスイッチもついている。
当然、僕も何かしら改造したか、追加回路をつけたのだろう、いま手元にある
MX-6Sには意味不明な(笑)スイッチはついているのだが、何を組み込んだかさっぱり記憶にない。困ったもんだ^^;
ちゃんと(当時)郵政省に回路を届け出て使い、性能は悪くなかったし、不具合も起きなかったが、実際に何局ほど交信に使ったかも憶えていない。山に運んでセミ・キャンプをするのに、この軽さはとてもありがたかった。
こんな移動運用は、無線屋さんが全体に高齢化した現代だとマイカーを出せるから何も難しいことはないし、重さもサイズも問題にならない。
それより、キットという文化の先細りが、科学立国ニッポンの危機であります。
ログハウスやプラモデル、鉄道模型なんかの世界はまだまだセルフビルド愛好家がいる(むしろ増えている?)のに、無線機は衰退するばかり。
そりゃ無線の現役人口が減っているからしかたないとはいえ、電気工作全般が市場縮小している。寂しいなぁ。
いまどきの焼酎学校の「技術家庭」で何を作らせているのかもわからんけれども、電波系の工作もはやらない。組み立てた回路に電気が流れて、空を飛んできた見えない電波がキャッチできたコーフンなんて、やってみなければわからない。手間もカネもかかるから、と体験せずスマホに走ってしまうのも、なんだかもったいない気はする。
細々とゲーム性のあるキットを製造しているメーカーはあるにはあるが、ミズホ通信のように送信と受信まで完結できるメーカーは、1社あるかないかというところか。
FBで反応してくれた想定外の「関係者」も、無線機そのものではなく周辺機器を使っていた元ラジオ小僧だったりするから、この線で営業継続できなくもない・・・けど、それも採算は疑問だろうなぁ。
平成になって国は免許のハードルを下げ規制緩和を渋々やりはじめたが、時すでに遅し。
電波系キットの生き残る市場分野を「これがあるでしょ!」とアピールしたくても、なかなか思い浮かばない。
ミズホはテレビ局キットまで製造していたものだが、いま勝手放送局なんか増えたら総務省は眉間にシワ寄せて取り締まりたいから、うかつなこともできない。
スマホを大音響で鳴らしたい人は、Bluetoothで外付けスピーカーあたりに飛ばせばすむのだろうけど、クラシックラジオやオーディオコンポで鳴らしたいと思えば、FMトランスミッターが汎用性もあって便利ではある。
Amazonには怪しげな中華製が売られていて、僕も飛びついてすぐ壊れてしまったから、ちゃんとした発振回路を組んだ微弱送信装置は昔も今も一定の存在価値はあると思う。
もっとも、改造(増幅)してコミュニティFMなみの出力にしてしまう作り手は必ず出てくるから、総務省の顔色をうかがう国内メーカーは及び腰。
電波法は遵守すべし!と僕はいたってコンプライアンス人間だから、海賊行為をしたくもないし、けしかけるつもりもない。
けど、受信は自由ですからね。
最新の受信回路技術で、SDRを導入すればスペクトラムが見えるラジオもできる。これを、しゃれた液晶パネルで表示するラジオをどこか出してくれんもんかな〜と思うのだが(キットでもいい)・・・中波・短波の放送自体が関心を呼ばない時代だから難しいか。
空も中国の電波が席巻しているし、ラジオの性能も驚くほど向上している。
毛嫌いしている間に、もうすぐ電波技術では負けまっせ。